Chairman Yasumitsu Sato, Chairman of the Japan Shogi Federation, and the teachers and students who are active in the "Success in the shogi world" are only two or three narrow gates.

Yasumitsu Sato Kudan

 今の世の中では、あまり数が多くなくなってきた師匠と弟子という関係性。それが将棋界には、まだしっかりと根づいている。プロ入りの条件として、誰か師匠がいないといけないからだ。その師弟がタッグを組んで戦う「第1回ABEMA師弟トーナメント」は、12月29日から対局の模様が放送される。開幕に先立ち、この大会を着想した日本将棋連盟会長のYasumitsu Sato Kudan(52)が取材に応じ「将棋界、棋士にとって師弟関係は礎」と語り、さらに師弟ともに現役で戦えることには「将棋界の成功者」と表現した。【動画】将棋界の師弟関係について語る日本将棋連盟会長・Yasumitsu Sato Kudan 日本では競技だけでなく、芸能や工芸の世界などにも多く存在してきた師弟関係。時代が移るに連れて、少しずつ減ってはいるが、将棋界においては非常に大きなものになっている。プロの門を叩こうとするならば、必ず師匠を見つけ、弟子入りをする必要がある。師弟ごとに関係は様々だが、師匠なしにプロになれないということには例外はない。ABEMAでは男性棋士による「ABEMAトーナメント」、女流棋士による「女流ABEMAトーナメント」という、業界でも珍しい団体戦が好評を博し、この流れを受けて佐藤九段は師弟でのトーナメント戦を思いついた。 佐藤九段 団体戦が、非常に反響が大きく、女流の団体戦につながりました。その次をどうするかということで、いろいろ考えてみたんですが、その時に浮かんだキーワードが師弟だったんです。コロナ禍ということもありまして、人と人とのつながり、関わり方は変化が来ています。将棋界にもそういう部分が出てきていますが、人と人とのつながりが非常に大事ということで将棋界、棋士にとって礎である師弟関係の企画をしました。 師弟といえば、その道を引退した、もしくは引退間近の師匠が、弟子にその技術などを伝えていく、というイメージが強いが、将棋界は独特だ。もちろん将棋そのものを教えることもあるが、重きを置かれるのは人間教育だ。 佐藤九段 他の世界でも師弟関係は存在するとは思いますが、将棋界では特殊な面もあります。将棋界はもともとプロになる上で、学校やカリキュラムを組んで勉強していくという形ではなくて、放任主義の世界。ある意味、自分の意志で自由に勉強して育っていきます。その中で師匠の存在は将棋界において大きい。自分のやり方で棋士になっていますので、みんな自信を持っていますが、その中で人が成長していく上で、何が大事かというのはひとつ大きなテーマになっていきます。師匠と弟子の関わりは大事な部分があります。 今や将棋ソフトなどを活用し、自分一人で強くなる傾向はさらに強くなっているが、それでも「棋士」という社会人としての学びを、師匠から得ることはとても大きい。世界としては決して大きくない将棋界の中で、どうやって広い世間に出ても恥ずかしくない人として成長できるか。それを師弟関係が担っている。 佐藤九段 将棋界には特殊なところがありまして、師匠も現役が多い。ですので、もちろん師匠は弟子を成長させるのが一番大きなテーマになるんですが、自身も現役ということで、自身にとってもいい意味で経験を積めることがあります。私も何人か弟子を取り、残念ながら棋士にはならなかったんですが、自分自身もしっかりしていないといい弟子が育たないです。 師匠と弟子、双方が現役であるケースが多いからこそ、師匠から弟子、という一方通行ではなく、むしろ弟子の若い感性を受けて、師匠が自分の棋力につなげることも少なくない。時には師弟の直接対決が公式戦であるのも、将棋界ならではだ。 佐藤九段 いろいろな方々を見ていますけど、一番印象的なのは、師匠と弟子で戦えることです。そのためには師匠が上で頑張っていないといけない。たとえば大山康晴先生(十五世名人)と有吉道夫先生(九段)のように、師弟でタイトルを争うとか、そういうのは一つの夢ではあります。実際問題ではかなり難しいですが、弟子が強くなってくれることが、師匠にもいい影響、環境があります。2人でそういう対局ができるのが一番いいと思いますし、弟子が一番いい結果を残すというのが大きいと思います。 師弟関係は、弟子がプロになる前から築かれるが、やはり師匠として最も大きい喜びが、奨励会の三段リーグを勝ち抜いて四段昇段、晴れてプロになる時だ。全国から「天才少年」と呼ばれるような若き才能が集まるが、年間でプロ入りするのはわずかに4~5人。奨励会には年齢制限もあり、一部の例外を除き26歳までに四段になれなければ退会となる。 佐藤九段 将棋界も非常に競争が厳しい世界。棋士になるのも非常に狭き門です。年間4人か5人ですから。それを勝ち抜いた者が棋士になるわけで、今回は師弟関係でのトーナメント戦になりますが、実はそれに参加できるのは、狭き門をくぐり抜けた弟子を育てた人。いろいろな観点があると思いますが、将棋界の成功者という見方ができると思います。奨励会に入ってくる人の1割から2割くらいしか棋士にならないわけで、8割から9割の人はプロになれずに辞めていきます。一生懸命指導をしたとしても、残念ながら勝負の世界なので、棋士になれず、この世界を去っていくのがほとんど。選ばれた、勝ち抜いた者が師弟という関係を築けるという意味で、成功者の集まりという見方ができます。 佐藤九段自身も、田中魁秀九段に弟子入りし、今ではほとんどなくなった「内弟子」のような日々を過ごしてきた。毎週末には田中九段の自宅で生活をともにし、将棋を教えてもらうかわりに、いろいろと家の手伝いもした。そうやって棋士として生きることを目の前で感じながら過ごした。逆に現在は、離れた場所でもインターネットなどを活用し、どこにいてもつながる師弟というのも増えてきた。 佐藤九段 やはり時代に合ったやり方というか、弟子が強くなってくれればいいので、それをどうサポートするかが、変わらないテーマかなと思います。今大会にはトップ棋士からベテラン棋士まで様々な棋士が参加して、若い弟子の棋士も参加します。いろいろな世代が戦っていくことになるので、それも注目ですが、師弟ならではの絆、思いは弟子が入門した時点からずっと続く信頼関係ですので、お互いを信頼して、どういう戦いを見せてくれるかは非常に楽しみですし、そういったシーンを見ていただければ非常におもしろいのかなと思います。 師匠は弟子のために、弟子は師匠のために。人のつながりの強さが、どんな形で盤上に現れるのか、考えた本人である佐藤九段は、実に楽しそうだった。◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・Yasumitsu Sato Kudanの着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。(ABEMA/将棋チャンネルより)

最終更新:ABEMA TIMES

日本将棋連盟・佐藤康光会長、師弟で現役の棋士は「将棋界の成功者」年間プロ入りはわずか2~3人の狭き門