10コア超えCPUはこうして冷やせ! 簡易水冷の基礎知識

ラジエータの大きさは主に4種類

 簡易水冷クーラーの冷却性能を決める重要な要素がラジエータのサイズだ。小さいと熱が飽和する限界が低く、CPUの発熱が大き過ぎると処理し切れなくなり、温度上昇を招いてしまう。そのため、ハイエンドCPUを使用した構成やOCを行なう場合は、28cmや36cmの大型ラジエータ搭載品が好まれる傾向にある。

10コア超えCPUはこうして冷やせ! 簡易水冷の基礎知識

 ただし、メーカーや製品によって水冷ヘッドやポンプの性能が違うために一概に比較はできない。ここでは、同じCorsairの製品で各クラスの性能をチェックしてみた。

 どのクラスでも温度に差がないように見えるが、これはCPUの温度に合わせて制御ができていると見るべきだ。その証拠に、動作音は28cm、36cmクラスのほうが圧倒的に小さくなる。ラジエータが大きくなるほど冷却力が高くなり、ファンの回転数が少なくてもCPUを冷やせるというわけだ。なお、CorsairのiCUEシリーズは、ファンの回転数制御をマザーボードに任せれば、より冷えるが動作音はその分大きくなる。

 クーラントの循環をよくするため、大型ラジエータ搭載モデルにはよりパワフルなポンプが搭載されていて、ラジエータサイズとの相乗効果で冷却性能が向上している場合もある。総じてラジエータのサイズアップによるメリットは大きい。

 だが、もっとも重要なのはCPUからの熱を受ける水冷ヘッド部分の作り込みだ。ここが悪いとどれだけ大きいラジエータを搭載しても冷却性能は高くならない。今回の検証で36cmクラスでやや冷却力の低い製品があるのはそれが原因と考えられる。

【検証環境】

CPU:Intel Core i9-9900K(8コア16スレッド)、マザーボード:ASRock Z390 Phantom Gaming 7(8コア16スレッド)、メモリ:G.Skill F4-3200C14D-16GVK(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※ヒートシンクを取り外して使用)、ビデオカード:玄人志向 RH5450-LE512HD/D3/HS/G2(AMD Radeon HD 5450、512MB)、SSD:ADATA Premier SP550 ASP550SS3-240GM-C(Serial ATA 3.0、240GB)、電源:Enermax MaxTytan EDT1250EWT(1,250W、80PLUS Titanium)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、グリス:親和産業 OC Master SMZ-01R、室温:24℃、暗騒音:30dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15を連続で10回実行した際の最大値、OC高負荷時:Core i9-9900Kを全コア4.9GHz(1.30V)にOCした状態でCINEBENCH R15を連続で10回実行した際の最大値、CPU温度:使用したのはHWMonitorでPackageの値、動作音測定距離:ファンの中心から10cm