緊急なのにスマホの充電が切れそう...まずとるべき4つの行動

ハイキングの途中で迷子になった時。あるいは車の故障で道端で立ち往生してしまった時。まず間違いなく誰かに助けを求めるために電話をかけることでしょう。

でも、スマホのバッテリー残量がわずかだった場合はどうしますか。

ボイスメール(留守番電話)の応答メッセージを変更すべきだというSNS投稿が話題になっていますが、そうしたアドバイスには耳を貸さないでください。

それより、友人にテキストメッセージを送るべきです。

「ボイスメールの応答メッセージ変更」をすすめる投稿は、ハリケーンの季節に話題になったり、ハイカー向けのアドバイスとして広まったりしています。

それによると、ボイスメールはどんな場所でも、どんなときでも利用できるので、自分の居場所や安否についてメッセージを残しておけば、電話をかけてくる人に知らせることができるからだそうです。

しかし、こうした前提のいくつかは半分しか当たっておらず、それにどのような場合であれ、ボイスメールの応答メッセージを変更するより先にやるべきことがいくらでもあります。

そうしたアドバイスに耳を貸さないよう訴えているのは、安全の専門家だけではありません。

私も実際に似たような状況に陥り、そんなときに限って使える手立てがないという経験をしたことがあります。

以前にもお話したように、ハイキング中に道に迷ったときのことです。

あたりは暗くなり、スマホのバッテリーも限りなくゼロに近い状態でした。

さらに困ったのは、携帯電話のネットワークにほとんどつながらなかったことです。

あとから思うと、そのとき私がとった行動はどれも正しいものでした。

そして、それはボイスメールの応答メッセージを変更することではありませんでした。

テキストメッセージを送る

テキストメッセージの送信は、バッテリーをごくわずかしか消費しませんし、携帯の電波が弱くても届きます。

送信ボタンを押した瞬間は電波が悪くて送信できなくても、数分間は再送を試みてくれます。

バッテリーがいつゼロになってもおかしくない場合、真っ先にやるべきは、自分の居場所と状況を伝える短いテキストメッセージを、信頼できる友人に送ることです。

自分のいるGPS座標がわかるなら、それもメッセージに含めましょう。画像や添付ファイルなどを送ってはいけません。

テキストのみのメッセージを送るようにしてください。

アメリカの多くの地域では、緊急通報用の電話番号(911)にテキストメッセージを送ることもできますが、どこでも利用できるわけではありません

(電話のほうが伝えられる情報が多く、より迅速かつ適切な助けを得られます。緊急通報の電話をかけられるバッテリー残量があるなら、電話にすべきです)。

また注意したいのは、必ず「テキストメッセージ」を送るということです。

暗号化メッセージアプリSignalのメッセージでも、SNSのDMでも、iMessageでもありません。

iPhoneのメッセージアプリからテキストメッセージを送るときに、吹き出しが青色で表示されたら、そのメッセージを長押しして、「SMS/MMSで送信」を選択してください。

通常のSMSメッセージは、吹き出しが緑色で表示されます。

バッテリーを節約する

そこまで差し迫った緊急事態でなければ、次に注意を向けるべきはバッテリーです(急を要する状況なら、ここは飛ばして次の緊急通報へ進んでください)。

テキストメッセージの返信を待つあいだ、低電力モードに変更しましょう。


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また、スクリーンの明るさを大幅に下げ、状況が許すなら一時的に機内モードにします。

いま出なくてもいい電話には出ず、どうしても必要なこと以外には電話を使わないでください。

充電器なしで長時間を乗り切るために、携帯電話の電源を完全に切ってもいいでしょう。その場合は定期的に電源を入れ、返信をチェックしてください。

車で立ち往生した場合は、車から充電しましょう!

可能なら緊急通報する

警察などの緊急通報番号に電話したほうがいい状況であれば、試してみてください。

ほかの番号は無理でも、緊急通報番号ならつながるかもしれません。

いかなる場合も緊急通報番号への電話はつなぐよう、携帯電話会社は義務づけられているからです。

自分が契約している携帯電話会社の電波は、今いる森の中では圏外になるかもしれませんが、すぐ近くにほかの携帯電話会社の基地局が設置されている可能性があります。

緊急通報したときは、途中で切れてしまう場合に備えて、はじめに重要な情報を伝えるようにしてください。

たとえば、居場所(できる限り正確な位置)や、通報理由、名前などです。携帯電話のバッテリーが切れそうだと伝えるのは、そのあとにしましょう。

動かずじっとしている

緊急時に避けるべき愚かな行為の1つは、一番やりたくなることでもあります。それは動き回ったり、場所を移動すること。

でも、今いる地点から動かないでください。

緊急通報番号や自宅にいる恋人に電話をし、自分の居場所を伝えたあとなら、なおさらです。あなたが前にいた場所に捜索隊が到着したところで、意味はありません。

ボイスメールの応答メッセージ変更は必要?

私が森で迷ったときは、ここにご紹介したステップのうち、緊急通報番号への電話以外はすべてやりました。

携帯電話の明るさを下げ、GPS座標を電話で確認し、私は道に迷って今ここにいると、夫にテキストメッセージを送りました。

携帯電話がどうにかつながる地点は、クモがうようよしている湿地で嫌だったのですが、私は我慢してそこにとどまり、夫からの返信を待ちました。

夫が道路へ戻るルートを示してくれたので、私はその説明どおりに進むと告げました。その間、夫は車を走らせて、私を迎えに来てくれました。最悪の事態は回避できたのです。

応答メッセージの変更はバッテリーを消費する

もしそれがうまくいかなかったら、ボイスメールの応答メッセージを変更したかって? 

とんでもない! 

ボイスメールの応答メッセージを変更するほうが、テキストメッセージを送信するよりバッテリーを消費しますから、私は貴重な電力を節約するほうを選びます。

相手が電話を受けないと意味がない

それに、そもそも私のボイスメールの応答メッセージを聞く人がいるのかという問題もあります。

メッセージというものは、対応できる人に届かない限り、役には立ちません。

そして夫は私の応答メッセージを聞くことなどないのです。私が電話に出ないときは、テキストメッセージを送ってきます。

みなさんの友達や家族もおそらく同じでしょう。私のボイスメール応答メッセージを聞くのは、車の延長保証について連絡してくるロボットくらいのものです。

通信会社につながらない可能性もある

いずれにせよ、携帯電話の電波が使えなければ、ボイスメールの応答メッセージを変更することはできません。

たしかに、応答メッセージは携帯電話会社に保存されますから、電話のバッテリーが切れても、電話をかけた人はメッセージを聞くことができるでしょう。

ですが、そもそも携帯電話会社に接続してメッセージを変更できないのなら、どうしようもありません。

携帯電話会社によっては、ほかの携帯電話や固定電話からボイスメールの応答メッセージを変更できる場合もあるので、理屈の上では試してみることは可能です。


とはいえ、メッセージ変更が役に立つような状況はそうそうありません。

バッテリーが切れたときに電話を持っている人に出会ったものの、その人はどういうわけかあなたの電話を充電する手助けができないといった場合でしょうか。

あるいは、緊急の連絡先にテキストメッセージを送ることも電話をかけることもできないけれど、ボイスメールの応答メッセージを誰かが聞いてくれるまで待つ余裕はあるといった場合でしょうか。

何だか現実離れした話ですね。

それよりも知っている誰かにテキストメッセージを送るか、緊急の場合は緊急通報番号に電話するようにしましょう。

Source: Federal Communications Commission, CTIA