SWDMを用いた100/40Gbpsの光Ethernet規格「100G-SWDM4-MSA」と「40G-SWDM4-MSA」

 ということで、今週からはIEEE非標準の光Ethernet規格を紹介していく。まず最初の「SWDM Alliance」は、2015年9月に結成された。創立メンバーはCommScope、Corning、Dell、Finisar、H3C、Huawei、Juniper Networks、Lumentum、OFSの9社だ。

 ちなみに、2019年9月20日に買収されたFinisarの社名は現在、買収先であるII-VI Incorporateとなっている(それを言えばDellも今はDell EMCになったが)。その後、アンリツ、Hisense、Huber+SUHNER、inneos、Panduit、Prysmian Group、Superior Essex、駿河精機、YOFC(長飛光繊)が加わり、現在は18社のメンバー企業で構成されている。

SWDMを用いた100/40Gbpsの光Ethernet規格「100G-SWDM4-MSA」と「40G-SWDM4-MSA」

 SWDM Allianceの目的は名前の通り、「SWDM(Shortwave Wavelength Division Multiplexing)」を利用した光Ethernet規格の確立である。SWDMは、基本的にWDMの一種というか、異なる波長の光を重ね合わることで1本の光ファイバーへ複数波長を通すことで、結果的に広い帯域を容易に得られるようにする仕組みである。

 ただ、そもそもWDMは主に長距離通信向けに開発されてきた歴史的経緯もあり、主に利用されるのは、SMF向けに1000nm以上の波長を持つ光源だった。

 少し古い話だが、こちらの記事で紹介した「100BASE-BX10」が1310nmと1550nmの光源を利用するのに対し、SWDMは1000nm未満、具体的には波長846~953nmの光源を利用してWDMを構成しようという仕組みだ。ちなみに40Gbpsでは2~440m、100Gbpsでは2~150mの到達距離を見込んでいる。

 これを利用することのメリットは、MFMが利用できることだ。データセンター内や、ラック内の配線としてSMFを使うのは、技術的には可能ながら価格の面が厳しい。そこで、安価なMMFを利用可能な40~100GbpsのEthernet規格を、という声に応えるべく、SWDMを利用したMMF対応規格の策定に向け、SWDM Allianceが結成されたわけだ。