100Gが8対の「800GBASE-VR8/SR8」が仕様に追加、BERの目標値決定にはさらなる情報が必須

「800GBASE-R」や「1600GBASE-R」では、BERが5.0E-14~1.0E-14のエラーレートが妥当

 主に光ファイバー周りのコンポーネントの話を紹介した前回に引き続き、IEEE 802.3 Beyond 400 Gb/s Ethernet Study Group」の2021年3月のミーティングには、ほかにもさまざまな検討事項が含まれている。

100Gが8対の「800GBASE-VR8/SR8」が仕様に追加、BERの目標値決定にはさらなる情報が必須

 まずは、Huaweiの発表した「BER Target」の話。例えば、こちらの記事で解説した「IEEE 802.3bs」の各規格では、BER(Bit Error Rate)は当初、1.0E-15が最小、可能なら1.0E-17に収めたいという猛烈なプロポーザルが出たようだが、最終的には1.0E-13に落ち着いたとの話が引用された上で、過去の推移からすると、「800GBASE-R」や「1600GBASE-R」に関しては、5.0E-14~1.0E-14あたりを狙うのが妥当ではないか? との見解が示された。

1.0E-17は、1時間あたりのエラーレートが0.0144回相当、つまり約3日に1回エラーが発生する程度という、猛烈にエラーが少ないレートになるBERを5.0E-14にすると、「1600GBASE-R」ではやや多めではあるが、おおむね「100GBASE-R」と大差のないオーダー。1.0E-14は(実装側で)やや厳しい感じに

 もちろんBERはあくまでエラーレートだから、通信路を確保するという観点では、低ければ低いほどいい。

 ただし実際には、BERを確保するために、より強力なFECを使ったり、より効果の高いDFEを搭載したりという話になる。DFEの効果を高めるということは、(タップ数を増やすなど)より複雑なDFEが必要になるため、回路規模や消費電力の増大につながってしまう。

 また、FECを強化すれば、それだけ冗長ビットが増え、実効転送レートの低下につながる。実効転送レートをターゲットであるレーンあたり200Gbに合わせるには、実際のデータレートを引き上げる必要がある。これは、再びの消費電力増大や、そのデータレートに対応する発光/受光素子の選定が難しくなるなど、阻害要因が増えていくだけだ。

 そのあたりを考え、BERとそのほかの要因について、どこかでバランスを取るのかを決めなければならない。ただ、このBERを考える場合、どこの数値で見積もるのか、という議論がある。

BERを1.0E-14に設定する場合の問題点は、後述する「MTTFPA」と実装の難易度、BERを測定する時間を表すtest timeの短さということになる赤字の部分が、BERに影響を及ぼす箇所(とBER測定ポイント)。

 エラーには複数の発生要因があるし、エラーを補正するにも複数の技術を組み合わせることで、トータルで1.0E-14なり5.0E-14なりを実現することを考えると、例えばBERが目標値に足りないときにどこを強化するのか、という議論につながってしまうわけだ。