合計「2億画素」カメラのスマホが登場、ビッグデータで星空も美しく撮影

ミドルレンジながら6,400万画素カメラを搭載する「Galaxy A52 5G」

とはいえGalaxy A52 5Gのカメラ構成は、メインが6,400万画素ではあるものの、超広角は1,200万画素、マクロは500万画素。そして4つ目となるもう1つの500万画素カメラは被写界深度測定用のカメラとなります。このように「超高画質カメラスマホ」であっても、メインカメラ以外の画素数は少ないのが一般的です。

ところがZTEから登場したスマートフォンは、メインも超広角も、さららにもう1つのカメラも6,400万画素という「トリプル・超高解像度カメラ」を搭載しているのです。

ZTEの「AXON 30 Ultra」のカメラは6,400万画素の標準(広角26mm)、6,400万画素の超広角(13mm)、さらに6,400万画素のポートレート(35mm)を搭載します。それに加えて望遠は800万画素ながらも潜望鏡と同じ原理を使うペリスコープ方式で光学5倍、デジタルでは60倍に対応します。4つのカメラの画素数を足すと64MP+64MP+64MP+8MP=200MP、すなわち「2億画素」です。搭載するカメラの合計画素数が2億となるモデルはこのAXON 30 Ultraが世界初でしょう。AXON 30 Ultraのカメラ部分には誇らしげに「3x64」という表記もあります。

実はカメラの性能は画素数だけではなくセンサーサイズも影響します。そのため一概に高画素数=高性能とはいえません。とはいえ高解像度なカメラであれば撮影後の写真を切り抜いても細部のディテールはより鮮明な傾向があります。またAXON 30 Ultraは人物撮影を撮影するのに最適な35mmのポートレートカメラも搭載し、しかも高画質なのです。従来のスマートフォンのカメラよりもデジタルカメラに近い人物撮影ができそうです。

合計「2億画素」カメラのスマホが登場、ビッグデータで星空も美しく撮影

さてZTEは5月20日に同じカメラを搭載した別のモデルとして、関連会社のNubiaから「Nubia Z30 Pro」をグローバル向けに発表しました。Nubiaは日本などで「RedMagic 6」を発売したばかり。Nubiaはここ数年CPU性能だけではなく冷却機構なども強化したゲーミングスマートフォン「RedMagic」シリーズを次々と出しています。

しかしNubiaの生い立ちを遡ると、実はZTEのカメラ強化モデルのブランドとして登場したのでした。Nubiaブランドのスマートフォンの前のモデルは2019年8月に発売になった「Nubia Z20」で、裏面もディスプレイという両画面モデルでしたが、それより以前のNubiaのスマートフォンは「詳細設定できるカメラのプロモード」「高画質カメラ」の搭載により、星空も撮れることを強力にアピールしたモデルを多く出していました。

そのNubiaブランドの最新モデル、Nubia Z30 ProのカメラスペックはAXON 30 Ultraと全く同一です。6.67インチディスプレイやSnapdragon 888をチップセットに採用するなど、ハードウェア性能はほとんど変わりません。しかしNubia Z30 Proは「星空撮影」を大きくアピールし、AXON 30 Proとは異なる方向を目指したスマートフォンであることを前面に出しています。あわせて中国語で「両億」すなわち「2億画素」もしっかりアピールしています。

AXONはここ数年スマートフォンの販売数が伸び悩んでおり、2021年からはこれまで別々に製品開発や販売展開を行っていたNubiaと共同でスマートフォン市場の強化を図ろうとしています。2020年6月にはNubia(Nubia Technology Co., Ltd.)の社長であるニ・フェイ氏を、ZTEのモバイルデバイス担当社長にも任命しました。

同氏就任後初の「Nubia Z」シリーズのスマートフォンは、星空も撮れNubiaの原点である「カメラフォン」のブランドとして再出発を図ろうと考えているのでしょう。そして「RedMagic」はゲーミングフォン、さらに「AXON」はフラッグシップと、3つの柱を作ることでスマートフォン市場での存在感を高めようとしています。

Nubia Z30 Proの星空撮影機能はかなり本格的で、世界初の機能を搭載しています。中国天文台が持つ2万個以上の星のデータベースと、Nubia Z30 ProのAIを使った「NEOVISION 10」と呼ぶ天体撮影システムを搭載。Nubia Z30 Proのカメラの向きを特定し、その場所にある星をビッグデータ解析することでより美しい天体写真が撮れるというのです。この機能がどこまで消費者ニーズにマッチするかはわかりませんが、高画質カメラ(ハードウェア)とビッグデータ(ソフト)の融合という技術開発は、今後ほかにも応用できるかもしれません。

スマートフォンのカメラの数は3つから4つへと増え、今後5つ、6つとさらに増えていくかもしれません。その中でZTEのように複数カメラの画素を高めていく動きも進んでいます。日本で発売予定のOPPOの「Find X3 Pro」は5,000万画素+5,000万画素、2つの高画質カメラを搭載しています。2021年後半のスマートフォンはメインカメラだけが高画質ではなく、サブカメラも高画質化させてあらゆるシーンで美しい写真撮影が可能になっていくでしょう。