グーグルがAndroidと他デバイスの連携を強化――垂直統合のアップルにどう立ち向かうのか:石川温のスマホ業界新聞
グーグルは1月5日(米国時間)、CES 2022に合わせて、今年、予定しているAndroid、Chromebook関連のアップデート機能を公開した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年1月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
例えば「Fast Pair」は、AndroidデバイスとBluetoothデバイスのペアリングを高速に行うというものだ。現在はAndroidスマートフォンとPixel Budsなどで利用できるが、この機能がChromobookなどに拡大される。
さらにイヤホンとGoogle TVなどでも利用可能になる模様。
グーグルではAcer、HP、IntelとともにWindowsパソコンでもFast Pairが可能になるとしている。いずれも年内に対応する予定だ。
また、Wear OS搭載のスマートウォッチでChromebookとAndroidデバイスのロック解除も可能になる。
ぶっちゃけて言えば「アップルに追随」しようとしているのは間違いない。
ワイヤレスイヤホンのAirPodsとiPhone、MacBook Proなどアップル製品との連携は素晴らしい。AirPodsを開けばまわりにあるデバイスと連携しようとメニューが起動するし、複数のデバイスの切り替えもやりやすい。
iPhoneもマスクをしていたら顔認証でのロック解除が効かないが、Apple Watchをしていればロック解除が簡単だ。
グーグルとしては、AirPodsとApple Watch、iPhoneの連携のしやすさに対抗せざるを得なくなったのだろう。
アップルはすべてのハードウェアからOSまで、自社で開発する垂直統合だからこそ、製品関連の連携が強い。
一方でグーグルは、AndroidやChromeなどOSがメインであるが、PixelやChromebookなど自社で手がける製品も存在する。自社ブランド製品だけで連携する世界観もあるだろうが、それではアップルには勝てっこない。
グーグルとしてはオープンに、WindowsパソコンではAcerやHPと組むことで、幅広い製品で使える利便性を目指しているのだろう。
機器間連携という点においては、中国・ファーウェイがアップルを追随していた。ファーウェイはスマートフォンに加えてWindowsパソコン、さらにはスマートウォッチを手がけており、唯一、アップルに対抗できる存在であった。しかし、米国政府からの禁輸措置によって、あっと言う間にその座から転落してしまった。
今回、Acer、HPのWindowsパソコンとニアバイシェアができるようになるとアナウンスがあったが、グーグルは早急に対応パートナーを増やすべきだ。
実際のところ、Androidスマートフォンのカメラ性能が向上し、動画を撮影する機会が増えている。特にXperia PRO-Iなどのスマートフォンを持つと、Xperia PRO-Iで撮影し、パソコンで編集することも珍しくなくなってくる。その際、いちいち、ケーブルにつないでデータを吸い出すのは面倒だ。ニアバイシェアでサクッと動画をコピーできたらどんなに便利か。
iPhoneで動画を撮り、MacBook ProにAirdropで送信するというのが実に簡単で高速で使い勝手が良かったりする。
せっかく、Androidスマートフォンメーカーがカメラ機能を強化しているのだから、その受け皿となるパソコンの機能強化をグーグルがもっと後押しすべきだろう。
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