30年企業ファーウェイの「品質」にかける思い

自らを「蜂の巣」に例え、消費者視点のものづくりを実践

 ファーウェイは今から30年前の1987年に、現会長の任正非(Ren Zhengfei)氏によって深センの地に創業した。当初はビルの一角からスタートした同社だが、通信機器の製造を手がけるなかで大きな成長を続け、今や世界の15カ所にR&Dセンターをもち、170カ国の拠点で18万人もの従業員を抱える世界有数のグローバル企業となった。

1987年に設立されたファーウェイ、今年で30周年だ今や従業員18万人のグローバル企業となった

30年企業ファーウェイの「品質」にかける思い

 スマートフォンについて言えば、2017年上半期の出荷数は7300万台超の前年同期比で20.6%増加。コンシューマー製品事業の売上高は1054億元(1兆7000億円以上)で同36.2%増。プレミアムスマートフォン(価格500ドル以上)のグローバルマーケットシェアは、ライカダブルレンズを搭載して注目を集めたP9シリーズが牽引し、2017年第2四半期の時点で前年同期比+2%の11.3%と躍進した。

2017年上半期のスマートフォン出荷台数は20.6%増にグローバルマーケットシェアも2%アップした3名が輪番CEOを務める独特の体制

 急速に成長し、日本でも存在感を高める同社の原動力は、独特な社内体制から生まれているのかもしれない。最終的な決定権をもつ最高責任者を定期的に交代する輪番CEO体制をとり、上場企業ではないものの、発行株式の1%を創業者が、99%を従業員が所有する。従業員レベルでも単一のリーダーが先頭に立つのではなく、ミツバチのように「全員が同じ目標に向かって行動している」ことから、同社は自身を「蜂の巣」にも例える。

Huawei Technologies PR部門ディレクター 徐翔宇(Xu XiangYu)氏

 日本風に言えば“全員野球”だろうか。そんな考え方を前提に、「今あるものを細部まで磨き、消費者のベネフィットを追求することを経営理念としている」と語るのは、グローバルのPR部門でディレクターを務める徐翔宇(Xu XiangYu)氏だ。「技術は消費者に価値を提供するためのもの」として、「この10年間で売上の10%をR&Dに投資している」と技術開発を重視する姿勢もアピールする。

 世界各地にあるR&Dセンターの内訳についても、サンフランシスコがUX(User Experience、製品などをする際の体験のこと)のデザインを、パリとロンドンがその他の製品全般のデザインを中心に手がける。

 また、ロシア(モスクワ)ではアルゴリズム、EUでは5Gをはじめとするテクノロジー、日本ではリサーチ・分析というように、各分野の人材が「どこに多いかを考慮して地域選定し、各R&Dセンターを設立している」という気の配りようだ。

世界各地のR&Dセンターは、地域ごとの人材の特色に合わせて担当分野を変えている