最大400Gbpsを実現する2つのモジュール規格「OSFP」「CDFP」

50GbpsのPAM-4または25GbpsのNRZが8本で400G/200G Ethernetがターゲットの「OSFP」

 前回の「CFP8」「QSFP-DD」に続き、今回は「OSFP」「CDFP」を解説したい。

 そのOSFP MSAは2016年11月に立ち上げられた。創立メンバーは、Arista Networks、Acacia Communications、Accelink、Adva Optical Networking、Amphenol、AppliedMicro、Applied Optoelectronics、Barefoot Networks、Broadcom、Cavium、ClariPhy Communications、ColorChip、Coriant、Corning、Dell EMC、Finisar、Foxconn Interconnect Technology、富士通オプティカルコンポーネンツ、Google、Hewlett Packard Enterprise、日立電線、Huawei Technologies、Infinera、Innolight、Innovium、Inphi、Intel、Ixia、Juniper Networks、Kaiam、Lorom、Lumentum、Luxtera、Macom、Marvell、Mellanox Technologies、Molex、MultiLane、NeoPhotonics、NEL America、Nokia、Oclaro、PHY-SI、SAE、Senko、Source Photonics、住友電工、TE Connectivity、山一電機と、49社もの企業が集まっている。

 MSAの場合、普通はもう少し絞ったかたちで審議を進め、パパッと標準化を済ませるものだが、ここまでメンバー企業が多いとやや紛糾しそうな気もする。実際、Specification Revision 1.0がリリースされたのは半年後の2017年5月で、この手のものとしてはちょっと時間が掛かった印象を受ける。ちなみにOSFPは、Octal Small Form factor Pluggableの略だそうである。

 さてそのOSFPモジュール、Optical/Copperの両対応であるが、特徴はモジュールの上に背は低いがヒートシンクが一体化されていることだろうか? 外形寸法(幅×奥行×高さ)の22.58×100.40×13.00mm(最大)というのは、CFP4より少し大きいという程度である。

OSFPモジュール。出典はOSFP MSAのトップページヒートシンクのフィンは貫通式で、フロントパネル側からシャーシ内部に冷却風を流すような形状。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 3-1

最大400Gbpsを実現する2つのモジュール規格「OSFP」「CDFP」

 ただ、モジュール側にヒートシンクを装着した例はあまりない(通常はケージ側と接触させるかたちでケージに熱を逃がし、そこにヒートシンクを取り付ける)。ちなみに右上の図ではヒートシンクに上蓋が載っているが、規格上は左下のように、これがなくても構わない。

 もっとも、この程度(最大でも3.80mm)のフィンで放熱できる能力には当然限界があるわけで、ケージ側に放熱フィンを取り付けるケースも想定されている。

あくまでも外形寸法が規格内(つまり高さ13.00mm以内)なら、放熱用フィンがそのまま見えていても問題ないとのこと。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 3-14このケージ側のフィンの寸法の規定を探したが見つからなかった。採用側がシャーシ内のレイアウトなどと考慮しながら決める話なので、ここで上限を定めても意味がないのかもしれない。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 9-2むしろなぜRevision 3.0まで定義されなかったのか、ちょっと不思議である。ちなみにこれは2x1タイプだが、Specificationには2x4/2x6タイプのものも定義されている。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 5-1

 ちなみに当初のSpecificationにはケージにスタック式のものは定義されておらず、横一列のものだけが用意されていた。これはRevision 3.0で右の図として定義されている。

 さてこのOSFPだが、左下のように400G Ethernetとなる「400GBASE-DR4」「400GBASE-SR8」「400GBASE-SR4.2」「400GBASE-FT4」「400GBASE-FR8」「400GBASE-LR8」あたりを主なターゲットとしている。しかし、400G Ethernetに加え、右下のように200GBASE-FR4×2や、CWDM4×2(こちらはまた後ほど)などもカバーしている。

400GBASE-SR8の場合のブロック図。ホスト側とは「400GAUI-8」で接続する。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 10-2CWDM4はCWDM4 MSAの策定する100G Ethernet規格。こちらはもう少し後に取り上げる予定だ。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 10-7Vccは全部でわずか4本。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のFigure 11-1

 コネクタ部そのものは、右のように60ピンで、ここに8対の送受信信号を通すことになる。

 その信号としては、25GbpsのNRZ、もしくは50GbpsのPAM-4を念頭に置いてはいるものの、400G以外にも、使おうと思えば以下のように200GBASE-SR4×2などに利用することは可能だ。

一番下の構成だと、1つのOSFPモジュールから25GBASE-SR×8(NRZ)ないし50GBASE-SR×8(PAM-4)を出すことも技術的には可能。ただ、そうしたモジュールは見たことも聞いたこともない。出典は"OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 3.0"のTable 11-3

 OSFPが、ほかのモジュールと異なるもう1つの点は電源にある。先に書いたようにVccピンは4本、電源電圧は3.3Vなのだが、何とピンあたり1.6Aを許容するため、最大構成だと3.3V×6.4A≒21.1Wで、ここまで紹介してきたモジュールよりも高い消費電力に耐えられる構成となっている。

OSFPの方がQSFPよりもサイズが大きいので、アダプターを介してOSFPのケージにQSFPモジュールを搭載できる。もっとも、スイッチ側が対応した信号を出していなければ意味はないが。出典は"OSFP to QSFP adapter for backward compatibility"

 Power Classは1~8まで、それぞれ1.5/3.5W/7W/8W/10W/12W/14W/>14Wが定義されている。Class 3から妙に細かく刻んでいる気がしなくはないが、放熱のことも考えると、むやみに消費電力枠を引き上げても自らの首が締まるだけなので、できれば14Wまでで抑えたいのだと思われる。

 ちなみに、OSFPで面白いのは、右のようなQSFP用のアダプターがあることだ。これにより、OSFP対応のケージ(というかスイッチ)に、QSFPのモジュールを装着して利用できる。もっとも筆者は、このアダプターが使われているのを実際に見たことはないのだが。